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栄養とがん:病気や治療が引き起こす症状の管理

がん治療に対する体の反応は人によって異なりますが、吐き気、嘔吐、食欲不振、味覚の喪失、口の乾燥といった一部の症状は、多くの患者さんに共通してみられます。

栄養とがん:病気や治療が引き起こす症状の管理

がん治療に対する体の反応は人によって異なりますが、吐き気、嘔吐、食欲不振、味覚の喪失、口の乾燥といった一部の症状は、多くの患者さんに共通してみられます。そのため、患者さんは各自のニーズに応じた健康的な食事を摂り、体が適切に機能するために十分な栄養を得る必要があります。手術前の体重減少が10%未満の患者さんは、手術後に重大な合併症が生じるリスクが低いことが知られています。以下の栄養補給法は、副作用に対処して治療中の食事をしやすくするのに役立ちます。

食生活を変えることで副作用に対処する2

体重減少や栄養障害は、腫瘍の活動と食事量の減少の両方によって生じることがあります。食べるのが難しい場合や多少の不快感がある場合でも、患者さんは食事を摂る必要があることを理解しましょう。食事を摂りやすくするため、症状に合せて使用できる栄養療法のテクニックがあります。以下にその例をご紹介します。2

食欲不振

食欲不振はとても分かりやすい症状であり、体重減少や栄養障害の主な原因の1つです。食欲不振に対処するためには、食べる量を増やすことなく、エネルギー、たんぱく質、栄養素の摂取量を増やす必要があります。アイデアをいくつかご紹介します2

  • 1回の食事量は少なめにして、食べる回数を増やす(できれば3時間おきに食べる)
  • 食欲がなくても、食事を抜かない。食欲がわかないときは、果物、おかゆ、スープ、スムージーなどを摂る
  • 美味しそうな見た目の食事を選び、食べられるものを把握するために新しい食品を試す
  • カロリーを増やすため、スムージーやおかゆにさまざまな穀類やシリアル(オートミール、コーンミール)を加える
  • スープやシチュー、野菜のマッシュに、オリーブ油、クリーム、または固ゆで卵の黄身を加える
  • 最初の数口で食欲がなくなることが多いため、最も食欲があるときに最も栄養価が高い食事を摂る
  • 栄養補助を目的として、必要に応じて医師や管理栄養士などに相談のうえ、ONS(経口栄養補助食品)の利用を検討する。ゼリータイプ、アイス、飲料、クッキータイプなど、さまざまなタイプのONSがあるが、濃厚なタイプが苦手な方にとっては、すっきりとした口当たりのものを選ぶことで、継続的に摂取しやすくなる場合もある。

吐き気や嘔吐

  • 一部の食品は胃に負担をかける可能性があるため、吐き気や嘔吐がある場合には避ける(例:揚げ物、脂っぽいもの、熱すぎるもの、辛さが強いもの、極度に甘いもの、匂いの強いものなど)
  • 食事の30分前に氷をなめたり、冷えたものを食べて、吐き気をやわらげる
  • ショウガの成分(ジンジャーエキス)は、一部の制吐薬と類似したメカニズムで消化器系や中枢神経系に作用するとされ、吐き気を軽減させる可能性がある。アロマ効果や4、多様な作用機序5によっても吐き気を軽減する働きがあると考えられており、食欲回復のサポートにもつながる可能性がある
  • 匂いで気分が悪くなることがあるため、調理をしている場所の近くにはいかない
  • ゆっくりとよく噛んで食べる
  • 1日を通して少量の食事を何回かに分けて摂る(長時間食べないでいると、吐き気の原因になる)
  • 食後は横にならない
  • 適切な口腔衛生を実践し、食後や嘔吐した後は歯を磨く
  • 気分が良くない時には、楽な服装をする2

口の乾燥

  • 乾燥したもの、硬いもの、パリパリしたものは避け、飲み込みやすい食べ物を試す
  • 唾液の分泌を促すため、口内に炎症や痛みがない場合は、アイスキャンディー、飴、ガムを食べる
  • 唾液の分泌を促すため、サラダや飲み物にレモン果汁を加える
  • 医師から水分摂取を制限するように言われていない場合は、飲料水(水、お茶、ココナッツウォーター、フルーツジュースなど)として1.5リットル程度摂る
  • ドレッシング、ソース、だし汁などで食べ物に風味をつける
  • リップクリームを使用する2

口の痛みや咀嚼困難/嚥下困難

  • しっかりと火を通したスクランブルエッグ、野菜のマッシュ、スープ、シチューなど、噛んだり飲み込んだりしやすい、やわらかくてなめらかな食品を選ぶ
  • 熱いものは口の痛みを悪化させる可能性があるため避ける
  • 柑橘類などの酸味の強いもの、辛いもの、塩味の強いもの、生野菜は避ける
  • 口に入れる箸などの食器類が口を傷めたり、食事の妨げにならないようにする2

その他にも、以下のようなことが役立つ可能性があります。

  • 電子たばこや加熱式たばこも含め、喫煙は控える
  • アルコールを含むマウスウォッシュを使用しない
  • 治療中、定期的に歯科検診を受ける2

味覚の変化

  • 香りのよい美味しそうな食べ物を選ぶ
  • 塩味の食品が甘く感じられる場合には、少量の塩とレモンを加える
  • 口内に金属のような味がする場合には、赤身肉は避ける
  • 調味料は、なるべく植物由来のもの(ミント、バジル、レモン、ライム、パセリ、コリアンダー(パクチー)、オレガノ、チャイブ、ニンニクなど)を使用する
  • 亜鉛や銅を多く含む食品(例:トウモロコシ、黒インゲン豆、小麦のシリアル、オート麦、卵、ロースト肉、全粒粉パン、色の濃い葉物野菜、エンドウ豆など)は、正常な味覚を取り戻すのに役立つ可能性がある
  • 熱すぎるものや冷たすぎるものは避ける
  • ミント飴をなめる。糖尿病の場合は、シュガーフリーのものを選ぶ
  • 食事の前に口をすすぐ2

下痢

  • 失われた水分を回復するため、水、お茶、ココナッツウォーター、医師の指導に従っての経口補水液、フレッシュジュースを多めに摂る(糖類や電解質を摂りすぎないように注意が必要)
  • 牛乳や乳製品は避ける。どうしても必要な場合は、低脂肪、無脂肪、あるいは無乳糖のものを選ぶ
  • 下痢を止めるのに役立つ可能性のある食品を選ぶ(例:リンゴや洋ナシ(皮をむかない)、バナナ、スイカ、メロン、加熱調理した野菜、シリアル、麺類、ゆで卵、ジャガイモ、ヤマノイモ、赤身肉、フレッシュジュース(漉したもの)など)
  • 糖分や脂肪分が多い食品、あるいは揚げ物は避ける(例:バター、マーガリン、ホイップクリーム/生クリーム、ベーコン、ナッツ類、脂肪種子、ソーセージ・ハム類など)
  • お腹がゆるくなる食品を避ける(例:プラム、パパイヤ、オレンジ、生野菜、オート麦、小麦、アマニ、スイーツ類など)2,3

便秘

  • 食物繊維が豊富な食品は、便秘の改善に役立つ(例:プラム、パパイヤ、オレンジ、オート麦、葉物野菜など)
  • 医師から水分摂取を制限するように言われていない場合は、1日1.5リットル程度の水分を摂る
  • 運動は腸の活動を刺激するため、おすすめできない運動がないか、必ずかかりつけの医師に確認する2,3

がんと診断されたら、治療前や治療中の栄養摂取について詳しく知ることが重要です。 もし疑問があれば、気兼ねなく医療従事者に質問しましょう。
 

引用文献:

1 - PINHO N.B. The effect of nutritional guidance and enteral and oral nutritional therapy during the preoperative period on individuals with head and neck tumor undergoing surgical treatment (“Efeito da orientação nutricional e da terapia nutricional enteral e oral no período pré-operatório em indivíduos com tumor de cabeça e pescoço submetidos ao tratamento cirúrgico”). http://bvsms.saude.gov.br/bvs/publicacoes/inca/nivaldo_barroso_efeito_da_orientacao_nutricional.pdf [2025年5月]
2 - Brazilian Ministry of Health/ INCA: José Alencar Gomes da Silva National Cancer Institute (“Instituto Nacional de Câncer José Alencar Gomes da Silva”). National Consensus on Oncology Nutrition (“Consenso Nacional de Nutrição Oncológica”). https://www.inca.gov.br/sites/ufu.sti.inca.local/files//media/document/consenso_nacional_de_nutricao_oncologica_-_2a_edicao_2015_completo_0.pdf [2025年5月]
3 - Brazilian Society of Parenteral and Enteral Nutrition. BRASPEN nutritional therapy guidelines in cancer patients (“Diretriz BRASPEN de terapia nutricional no paciente com câncer”). https://braspenjournal.org/article/6537d09ea95395083b1a5db3/pdf/braspen-34-1%2C+Supl+1-6537d09ea95395083b1a5db3.pdf [2025年5月]
4 - Complement Ther. Med. 2015 ;23(3):396-404.
5 - Med Oncol. 2017;34:69.

 

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