がん患者さんに衛生的に食事をつくるためのヒント
がん治療中に適切な食事をきちんと摂ることは、回復プロセスを助け、栄養障害などのさらなる健康問題が生じるのを防ぎます1。
がん治療中に適切な食事をきちんと摂ることは、回復プロセスを助け、栄養障害などのさらなる健康問題が生じるのを防ぎます1。しかし、気をつける必要があるのは栄養だけではありません。衛生的な調理手順の確保も必要になります2 。これは、がん患者さんは免疫力が低下する傾向があり、汚染された水や食品によるものを含め、感染症にかかりやすくなる可能性があるからです。
がん患者さんに衛生的に食事をつくるためのヒント
がん患者さんが口にするものをどのように選び、保管し、調理すればよいかを知っておくことは、汚染や病気の伝染を防ぐための重要な手段です。そのため、患者さん自身や患者さんの食事を作る人が、衛生的な手順を知っておく必要があります。2
個人衛生 - 一般的に、手、口、鼻、皮膚には細菌がおり、それが食品に移る可能性があります。これを防ぐため、以下のようなことに気をつけるようにしましょう2:
- 食品を取り扱う前や別の手順に移るとき、あるいは別の物(箱、棚、汚れたパッケージ、冷蔵庫など)に触れたときには、必ず手をよく洗う
- 調理を始める際、手を洗う前に、腕時計、指輪、ブレスレットなどのアクセサリーをすべて外す
- 爪を常に短く清潔にしておく
- 食品を取り扱うときには、せきやくしゃみをしたり、鼻をかんだり、ガムを噛まない
- 味見に使ったスプーンなどを、そのまま洗わずに食べ物が入った鍋や皿に戻さない
食品選び - 食品を購入する際には以下のことを考慮するようにしましょう2:
- 製造者について適切な情報がないものは購入しない
- 販売している場所の衛生状態を確認する(例:異臭がしないか、棚や床が汚れていないか、腐ったものや売れ残りのものが放置されていないかなど)。
- パッケージがつぶれたり破れたりしている、パッケージにカビや漏れが認められる、あるいは中身が乱雑に詰め込まれているものは購入しない
- 生肉は、しっかりと弾力があり、黒や緑や灰色っぽく変色しているところがなく、嫌なにおいがしないものを選ぶ
- 加工肉は、外から見てべたつきや濡れ/ドリップ、あるいは緑色っぽい斑点がなく、嫌なにおいがしないものを選ぶ
- 殻にひびが入っていない卵を選ぶ
- チーズは、表面にねばつきがあったり、カビが生えたりしていないものを選ぶ
- 穀類、小麦粉、およびシリアルは、コクゾウムシなどの昆虫が混入していたり、湿っているように見えたりせず、しっかりと密閉されているものを選ぶ
- 魚介類は、皮に張りがあって鱗に光沢があり、キズがなく、眼が澄んでいて濁っていないものを選ぶようにする。嫌なにおいがする、色つやが悪い、身が骨から外れている、あるいは変色が認められるものは購入しない
食品の保管 - 食材ごとに適した保管温度がありますが、一般的にどのような食品でも30分以上常温に置かないようにしてください。2食品のラベルに記載してある消費期限(もしくは賞味期限)や保存方法を守りましょう。家庭で保存するポイントは以下の通りです3。
- 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう
- 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です
- 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することがめやすです。温度計を使って時々温度を計るとよいでしょう
- 細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止しています。しかし、細菌が死ぬわけではありません。早めに使いきるようにしましょう
- 肉や魚等は、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁等がかからないようにしましょう
- 食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れ等に注意しましょう
食品の調理 – 食品の保管や手指衛生をしっかり実践することに加え、以下のことにも気を付けましょう2:
- 調理を始める前に、調理場が清潔な状態であることを確認する。清潔な状態になっていない場合には、調理場を清掃する
- 汚染を避けるため、調理手順を細かい段階に分け、各段階でシンクと調理器具を洗浄する
- 冷凍食品等凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよいでしょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います3
- 野菜や果物は、汚れや虫、微生物をほぼ取り除くため、それぞれ別々に流水で洗うこと。
- 作った食事は、30分以上常温に置かないこと。
- 食品を取り扱う際には、必ず清潔な調理器具や食器を使用すること。2
診断を受けてから治療の終了後まで、食品を衛生的に調理するためのこうしたヒントに加え、食事に関する医師や栄養士の指示に従うようにしてください。
引用文献・参考
1 - INCA: José Alencar Gomes da Silva National Cancer Institute (“Instituto Nacional de Câncer José Alencar Gomes da Silva”). Healthy lifestyle during and after cancer treatment (“Estilo de vida saudável durante e após o tratamento do câncer”). https://www.inca.gov.br/sites/ufu.sti.inca.local/files//media/document//estilo-de-vida-saudavel-durante-e-apos-o-tratamento-de-cancer-2017.pdf [2025年5月閲覧]
2 - São Paulo Municipal Health Department ("Secretaria Municipal da Saúde de São Paulo"). Manual of good practices in food handling.
3 – 厚生労働省.家庭でできる食中毒予防の6つのポイント ~家庭で行うHACCP(宇宙食から生まれた衛生管理)~ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00006.html [2025年5月閲覧]
他の記事も読む
がん患者さんの栄養状態を回復するにはどうしたらいい?
栄養療法は医師や管理栄養士 が使用するアプローチの1つ
がん患者さんの介護者にも手助けが必要
友人やご家族の方ががん患者さんのお世話を引き受け、介護者になるのはよくあることです。
がん治療を受ける人にとっての介護者の重要性
治療による副作用は、多くの身体的な変化や心理的な変化につながることがあり、そうした変化が普段どおりの生活を送る能力に影響を及ぼすこともあります。
がん患者さんの助けとなるソーシャルサポートネットワーク
がん患者さんは、自分の置かれた新たな現実に適応し、さまざまな治療段階において、多くの身体的・心理的・社会的問題に立ち向かう必要があります1。
がん患者さんに言ってよいこと、言ってはいけないこと
ご家族、ご友人、同僚ががんになったとき、どのように言葉をかければよいか迷う人は多いでしょう。
がんと診断されることによる心理的影響
病期に関わらず、がんと診断された後は、どの患者さんもある程度の精神的な苦痛を経験します。これには、予想される短期的・長期的転帰や治療によるものがあります。時として、そうした苦しみがあまりにもひどく、治療が必要になることがありますが2、それは何もおかしなことではありません。